株式会社マザーハウス 代表取締役の山口絵理子さんの『裸でも生きる2』 を読みました。
彼女のことは、外務省職員でブログをつうじて積極的に情報発信をされていた紀谷昌彦氏の記事で知り、起業当初からその活躍を応援しています。
まず、何より途上国でマーケットで通用する商品を作り出すこと自体、困難極まることなのに、その商品のデザインの魅力、質の高さに驚かされます。
そして、それを実現している彼女の行動力、そしてチーム・マザーハウスをとても尊敬しています。
さて、今回の新著も前作『裸でも生きる』と同様、読み始めたら最後まで目を離せず、一気に読了しました。
前作も含め山口さんの『裸でも生きる』シリーズのテーマをひと言で言わせていただくと、
人を信じ尽くし、そして自分を信じて、歩き続けるライフ・ストーリー
だと理解しました。
バッグをデザイン、製作しているバングラデッシュやネパールでまたも信じていた人たちの裏切りにあうのですが、彼女は決して人を信じることをやめない、自分を信じることをやめない。そして、夢に向かって歩み続ける。
そういう「信じるってどういこと?」という問いを読む人に投げかけます。
読後、「“真に強い人”というのは一体どういう人だろう・・・」と考えたのですが、
彼女の生き方から、それは、
「決して逃げない人」
だと思いました。
逃げたくても逃げない、弱い自分に押しつぶされそうになっても決して逃げない、
自分もそうありたい、読んでいて自然と胸が熱くなる本です。
1.Keep Walking(信じた道を歩く)
2007年に出版した『裸でも生きる』に続き、今回の第2弾のタイトルも『裸でも生きる』にした理由は、私なりにこだわりがあるからだ。
バングラデッシュで見てきた現実の中で、自分の人生に最も影響を与えたものは、明日に向かて必死に生きる人たちの姿だった。ただただ生きるために、生きていた。
そんな姿を毎日見ていたら、バングラデッシュの人が自分に問いかけているような気がした。
「君はなんでそんなに幸せな環境にいるのに、やりたいことをやらないんだ?」と。
他人にどう言われようが、他人にどう見られ評価されようが、たとえ裸になってでも自分が信じた道を歩く。
それが、バングラデッシュのみんなが教えてくれたことに対する私なりの答えだった。(P.16)
工場を追い出されたとき、本当にもうダメだと思った。これまで何度も裏切られ、工場を後にするたびに、また振り出した、と想ってきた。
それでもまたゼロからやればいいさ、と最後には自分を励ましながら来たつもりだったが、同時に人間というものがどこまで信じられるのか、不信感を抱かずにはいられない自分がいて、それがものすごく恐怖だった。
私にとって恐怖とは、他人や環境に対して抱くものではなく、自分自身に対して抱くものだった。
人間を信じられなくなるくらいだったら、こんなビジネスはやめた方がいいと本気で思ったこともあった。(P.236)、
2.夢に対する責任
あきらめた時点で、夢は夢で終わってしまうんだと、そんな単純な真理が心から理解できた。
歩き続ける限りにおいて、夢が現実になる可能性はたとえ0.0001パーセントでも生きている。
その可能性を信じ、歩みを止めないことが、夢を見つける以上にどれほど困難でどれほど尊いものであろうか。
私自身は、その歩みを一人で続けられるほど強くはない。
けれども、そのたびに0.0001パーセントの可能性を示してくれたのは、(中略)すべての人たちだった。(P.24)
日本という国は、恵まれすぎている。
あっちこっち周囲を警戒しながら道を歩かなくていいだけでも、どんなに素晴らしいか。私はそういう意味で、途上国にたくさんのことを教えてもらった。
自分がいかに幸せな人間かというこうこと。
帰る場所があるんだってこと。
だからこそ、本当にできる限りの力で夢を実現する責任があるんだって思う。(P.114)
夢は実現する。
実現するまで歩き続ける限り。(P.229)
3.哲学
(新規に事業を始めるネパールについて) ビジネス的んリスクがありすぎる国なのは分かっている。
しかし、バングラデッシュがそうだった。非常事態宣言の時、テロの時、それでもバッグを作り続けた自分がいた。
今の私は、そんな自分は過去の自分、会社は大きくなったんだし、もう自分だけのものじゃない、というもっともらしい理由を言い訳にして、この国を去ろうとする。
この国に希望の光はない。この国には問題がありすぎるから、去る。
しかし、そんな常識的な決断にはためらいがあった。
「私自身の人生を賭けて、本当の気持ちはどうなの?」と自分の胸に問いただしてみた。
この国の現実を知った以上、私も少なからずこの国の問題に立ち向かいたいと思ってしまうのは、子供じみた勝手な思いなのだろうか。
しかし、マザーハウスが大事にしたい哲学とは、こういう国の現実にたち向かうことなんじゃないのか。
だからこそ、今のマザーハウスができたんじゃないのか。
哲学、哲学。
いつもそんなふうにスタッフに話してきた。
しかし、哲学を行動に移す私自身が、今その哲学を手放そうとしている気がしてならない。
自分自身に嘘をついちゃいけない。(P.154)
4.マザーハウスの競争力の源泉
マザーハウスは、ストーリーとモノをセットで売っている。前者はお金には換算できない。けれど間違いなく、「代表取締役」が言うのだから信じてほしいが、これがマザーハウスの競争力の源泉だ。
こうした貨幣以外の価値について、人間は敏感になり始めていると私は感じる。
(中略)
それでは、経済的な成功を遂げた人間でも、なぜ世界を空虚に感じるときがあるのだろうか。
それは人間にとって、お金よりも大事なものがあるからだ。
私はそれを「存在意義」、つまり「愛」だと思っている。(P.120)
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